健康のためにバナナをよく食べるという人も多いと思います。バナナは食物繊維やカリウムなどのミネラルを多く含んでいて、エネルギー源や栄養になりやすい食べ物です。

朝や運動前に食べるとよいと言われています。ところでスイカは食べながら種を出さないといけませんがバナナは?種が見当たりませんよね。

ではバナナはどうやって増やすのでしょう?

  1. バナナを植木鉢にさしておくとバナナの木が生えてくる
  2. バナナの皮の根元の部分を植えるとバナナの木が生えてくる
  3. バナナの真ん中の柔らかい部分を取って植えるとバナナができる
  4. バナナの木からバナナの木が生えてくる
  5. 実は種なしバナナの種が保存されていてそれを植えている

正解は

「4」です。

バナナは種で増やすのではありません。

バナナの木(本当は草)の地下にある茎が横に枝を伸ばして、そこに新しい芽ができます。これを株分けして新しいバナナの木(草)を育てていくのです。ものすごく簡単に言えば、「バナナの木からバナナの木が生えてくる」となります。草なので木よりも成長が早く、3年ぐらいで人の背たけをこえてバナナの実をつけてくれるそうです。一度実をつけたバナナの木(草)の地上の部分は枯れてしまうので、地下の株分けを行い続けて、安定した収穫量を確保しているのです。大変なんですね。

小学校や中1の理科で習ったおしべとめしべから実ができる仕組みとは違いますね。

中学3年生の理科では、この仕組みについて染色体をモデルにして習います。

  • 両方の親から染色体を受け継いで、似ているけれども多様な形質が生まれる有性生殖
  • 親と同じ染色体を持っていて形や色などが同じになる無性生殖

小学校の理科では、「たねいもから芽と根が出てジャガイモになる」と習いましたね。これが無性生殖だったのです。もとのイモと同じ染色体をもっているので形質が同じになるのですね。栄養を貯めていたところが分かれて新しい個体になるので「栄養生殖」と呼ばれます。

でも、ジャガイモにもお花があってちゃんと実もできます。

これとは別に、地下の茎の一部が伸びて、先に栄養をためたものがジャガイモです。みなさんが普段食べているジャガイモは、この栄養生殖の仕組みを使って増やしています。

栄養生殖の利点は主に3つ(よくテストに出る)

  • 親と同じ形質のものを多く生産できるという利点

⇒味や品質が同じものを大量生産できる イチゴも同じ増やし方ですよ

  • 種子ができない品種を繁殖させられるという利点

⇒バナナのように種子がない品種も生産できているんですね

  • 栽培に不適当な地域でも栽培できるという利点

⇒映画「オデッセイ」では、火星に取り残された宇宙飛行士がジャガイモを栄養生殖で増やして生き延びていました

しかし、注意点もあります。

・多様性がないので病害虫や環境の変化に弱い

・病気などがあるとそのまま伝わり全滅する危険もある

・種子のように保存かできない

などです。

このような生物の増え方の違いを利用して、まず有性生殖で品種改良をくり返し、その中で美味しかったり大きかったり病害虫に強かった品種を取り出して、今度は無性生殖の仕組みを活用して大量に生産して下さっている。そのおかげで美味しいものが食べられているんですね。

理科ではこのような仕組みも勉強していきます。いろいろな身の回りの「ナゾ」を解き明かしていきましょう!

 

余談ですが、先生のお家には多肉植物がたくさんいます。お花も咲いて種もできますが、葉っぱや株分けで増やしていきます。

葉っぱをとって置いておくと、葉っぱのつけ根から小さな小さな芽が出てきて、それが大きく育っていくんです。

生命ってすごいあなぁと感じます。